Diary to my 14 years old self. 01

 


13歳の私は夏の初めまで、日本に住んでいた。でも夏に生まれた私はその年の誕生日は暖かいこことは違うところで14歳の誕生日を迎えることを自覚していたし、そのことに対してとてもわくわくしていた。知っていたことといえば、その町には学校とスーパーが2つ、そしてお世話になる知り合いの家族が住んでいて、海が近く、空がとてつもなく広く、そして言語が違うということ。それからそこには飛行機で行き、しばらくすると、ひとりになるということ。
学校のみんなには最後の日にさよならと一言言っただけで、どこに行くとか、なんで行くとか、ひとりで行くなんてことは到底言えなかった。それだけ、そのときの私は未知の世界に行くんだと自覚はあったような、なかったような、怖い予感なんて考える暇もなかったし、トランクには自分が好きなものしか詰めていなかったようにも思う。水着をひとつ、Tシャツを5枚、ジーパンをふたつ、そしてその時大好きだった犬のぬいぐるみをひとつ。そう、私ひとりが必要なものそして分量だけ。それから、鉛筆で書くことが嫌いだった私は空港でも、手続きでもあらゆるところで使えそうなボールペンをひとつかばんに詰め込んだ。
日本を出たのは、向こうの学校が始まるちょうど3週間くらい前。オレンジの私のサイズにぴったりな少し小さめのスーツケースとリュックサックひとつ、ワクチンの記録、パスポート、家族からもらった大切な書類を大事に抱え、私は飛行機に乗り込んだ。
飛行機の中ボディーが離陸するとき、私の近く、窓際に座っていたひとりの女性が彼女の大切にしていたクマのぬいぐるみを窓際に座らせ、飛行機が日本の地を離れる様子をクマのぬいぐるみにも見せていた。その女性は嬉しそうにしていたのか、これから始まる旅を楽しみにしていたのか、私にはわからなかったが、直感的に彼女はクマと一緒に遠くにお出かけに行くんだなということはわかった。それはなぜか私に似ているなと思って、その女の人をそっと遠くから見ていた。私はすぐ眠ってしまったため、次に起きたときには彼女ももう寂しげにはみえなかった。

”ホームシック”という言葉なんて知らなかった。




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